はじめに
サニタリーヘルール(Sanitary Ferrule)は、食品・飲料・医薬品業界などの衛生管理が求められる配管設備で広く使用されている配管接続部品です。
衛生性の維持や分解・洗浄のしやすさに加え、確実なシール性能が求められます。
そのため、ヘルールクランプの「締め付けトルク」は、適切なシール状態を維持するうえで重要な要素のひとつです。
締付不足や締付過多は、漏れやガスケットの変形・損傷などにつながる可能性があります。
本記事では、ヘルールクランプの締め付けトルクの重要性と、トルクレンチによる締付管理について解説します。
1. サニタリーヘルールとは
サニタリーヘルールは、食品・飲料・医薬品など、衛生性が求められる配管設備で使用される配管接続方式のひとつです。
主に以下の部品で構成され、ヘルール同士をガスケットとクランプで締結することで、配管を接続します。
- ヘルール:配管端部に溶接して使用する継手。フランジ状の接続面を持ち、ガスケットを介して他のヘルールと接続します。
- ガスケット:ヘルールの接続面をシールする部材。EPDM、シリコン、PTFEなど、使用する流体や温度・圧力などの条件に応じて選定します。
- クランプ:対向するヘルールを挟み込み、ガスケットを適切に圧縮して締結する部品です。
サニタリー配管では、ガスケットを適切な状態で圧縮し、確実にシールすることが重要です。
そのため、クランプの締付方法や締付トルクが、配管のシール性能やメンテナンス性に関わる重要なポイントとなります。
クランプの種類


2. 締め付けトルクの重要性
ヘルールクランプは、締め付けが弱すぎても、強すぎても適切なシール状態を維持できない場合があります。
締め付け不足ではガスケットの圧縮が不十分となり、漏れの原因となる可能性があります。
一方、締付過多ではガスケットに過度な負荷がかかり、変形や損傷につながる可能性があります。
そのため、使用するガスケットやクランプに応じた適正な締め付けトルクで管理することが重要です。
適正な締め付けトルクで締め付けることで、主に以下の効果が期待できます。
- シール性の確保:ガスケットを適切に圧縮することで、安定したシール状態を維持します。
- ガスケットへの過度な負荷を抑制:締め付け過多によるガスケットの変形や損傷を抑え、適切な使用状態の維持につなげます。
- 接続部品への過度な負荷を抑制:過大な締め付けによるヘルールやクランプへの負荷を抑え、変形などのトラブルを防ぎます。
- 締付状態のばらつきを抑制:締め付けトルクを数値で管理することで、作業者の感覚だけに頼らず、一定の締付状態を維持しやすくなります。
3. 正確な締め付けのための注意点
ヘルールクランプを適切に締め付けるためには、締め付けトルクだけでなく、
ガスケットや接続部の状態、配管の設置状況なども確認することが重要です。
ガスケットの状態確認
ガスケットは使用環境や経年によって劣化する場合があります。
硬化・変色・ひび割れ・傷・変形などが見られる場合は、適切なシール性能を維持するため、ガスケットを交換してください。
また、ガスケットを取り付ける際は、ヘルールの接続面に正しくセットされていることを確認してください。
定期的な点検
ヘルールやクランプの接続部は、定期的に状態を確認してください。
バリ・腐食・摩耗・傷・変形などが確認された場合は、そのまま使用せず、必要に応じて部品の交換や補修を行ってください。
配管位置・芯ずれの確認
ヘルールクランプは、適正な締め付けトルクで締め付けていても、配管の位置や接続状態によっては漏れが発生する場合があります。
特に、以下のような状態では注意が必要です。
- 配管の芯が合っていない。

- 配管の芯が傾いている。

- 配管の継手面が開きすぎている。

クランプを締め付ける前に、ヘルール同士の位置・向き・芯ずれがないことを確認し、配管に無理な力がかかっていない状態で接続することが重要です。
用途に応じたクランプの選定
サニタリー配管では、設置場所や作業環境、締付方法などに応じて、適したクランプを選定することも重要です。
クランプの締結に人による(締めすぎ、緩すぎ)が生じる場合
■推奨クランプ:ワンタッチクランプ、ワンタッチクランプロック
ワンタッチで締結できるので誰が操作しても締め付けトルクが均一です。
作業者がナットを締め付ける必要がないため、作業方法による締付状態のばらつきを抑えやすく、施工やメンテナンス時の作業性向上につながります。
ワンタッチクランプロックは、従来のワンタッチクランプにロック機構を追加した新製品です。
ワンタッチで締結できる操作性を維持しながら、ロック機構によって意図しないクランプの開放を抑制し、より安定した締結状態を維持します。
製品の詳細につきましては、下記の製品ページをご確認ください。
締め付けトルクを数値で管理したい場合
■推奨クランプ:ヘックスナット付クランプ
ヘックスナット付クランプは、従来の蝶ナットと同様に手締めができるほか、スパナやトルクレンチなどの工具を使用した締め付けも可能です。
トルクレンチを使用することで、メーカー推奨の締め付けトルクに合わせた数値管理が可能となり、作業者による締付状態のばらつきを抑えやすくなります。
また、ナット部がコンパクトなため、配管が密集した場所や限られたスペースでの使用にも適しています。
製品の詳細につきましては、下記の製品ページをご確認ください。
配管全体の軽量化をしたい場合
■推奨クランプ:低圧クランプ
低圧クランプは、他のクランプと比較して軽量な設計となっており、配管設備全体の軽量化を図りたい場合に適しています。
製品の詳細につきましては、下記の製品ページをご確認ください。
4.推奨締め付けトルク値(目安)
下記はコンサスが取り扱うサニタリー配管において、ヘルールガスケットおよびクランプを用いた接続作業全般に適用します。

⚠ 注意:適用範囲はコンサスが取り扱うヘルールガスケットおよびヘルールクランプを用いた接続作業全般とします。
対象となるサイズ:8A、10A、15A、1S、1.5S、2S、2.5S、3S
5. まとめ
サニタリーヘルールの締め付けでは、適正な締め付けトルクを管理することが、漏れの防止や安定したシール性能の維持につながります。
締め付け不足・締め付け過多のどちらにもリスクがあるため、トルクレンチなどを使用して締め付けトルクを数値で管理することが有効です。
また、ガスケットやヘルール、クランプなどの状態を定期的に点検することも重要です。
締め付けトルクは、使用するクランプやガスケットの仕様を確認したうえで、メーカー推奨値を基本として、使用する流体・温度・圧力などの条件を考慮して管理することをおすすめします。
⚠ 注意:4. 推奨締め付けトルク値(目安)に記載している数値はコンサス製のヘルールガスケットおよびヘルールクランプを用いた接続作業全般が対象です。





